第14号 平成14年2月発行
巻頭
「恒 久 平 和」
住職 標 隆光

昨年は本堂建設に際しまして多くの皆様からご寄付賜り厚く御礼申し上げます。お蔭様をもちまして完成に至る事が出来ました。
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さて、昨年九月十一日、深夜テレビのニュース番組から放映された映像はわたしの目には映画の一シーンを見ているかのような錯覚に写りました。ニューヨークのシンボルとも言うべき国際貿易センタービルに旅客機が突入するシーンです。これがノンフィクションであるということの恐ろしさと同時に、哀惜の念に深くかられてしまいました。数日後、イスラムのテロ組織による宗教の報復であることが明らかにされました。
日本人の宗教観は仏教の教えによるところが大きく、その教えは善・静・慈と言う文字が表すように、内証重視の教えであると思います。人間の正しい生き方を示し、自らを見つめ、他人の関わりを良くする教えであります。
仏教は決して攻撃的な宗教ではありません。その教えの第一には、「不殺生」つまり「生きているものを殺してはいけない」と言う教えがあるからです。
これは、外敵という考え方を除けば、平和的解決を生み出すために最大の努力をすることです。
明治以降の侵略戦争は仏教国から神道国に大きく転換してからの出来事です。第二次大戦が敗北に終わり、日本は西洋文化の流入とともに「キリスト教」の教えも受け入れてきました。それは宗教という意識のもとではなく、年間行事の一つとして、組み込まれて行きました。最近では、結婚式のほとんどが「チャペルウェディング」つまり、キリスト教の教会で十字架と牧師様の前で生涯の愛を誓い、讃美歌を歌って祝福する形式になっています。現代人にはもってこいのスタイルなのでしょう。
最後に仏教は平和を唱える宗教であるということを、今一度ご理解ください。基本的に争いは人を不幸にします。仏教の教えが示す、平和で憎しみ合わない社会を人類の最大目標として、これからの世界を作り上げて行くべきだと考えます。
幸福について
「争いを避ける」
巻頭の意味を引き続く表題ですが、家庭内や人間関係の争いも武器を持たないまでも争いには違いありません。その発端は口喧嘩・日ごろの鬱憤が爆発して、起こるものがほとんどでしょう。一度心に皹が入ってしまうとなかなか修復することが出来なくなります。こうなる前に人とのお付き合いを大切にしておかなければなりません。
第一に「和顔愛語」の実践です。和顔は笑顔・穏やかな表情を常に持つことです。愛語はやさしい語り掛けや愛情のこもった言葉で会話をすると言うことです。
第二は「心身布施」です。心は自内証と言って全ての根底になるものです。多くの人とお付き合いをする上でその本質となる心が乱れていては良い人間関係は生まれません。これは愛情とか友情とも言えます。次に自分の身体を他人のために施すことです。これは「ボランティア」あるいは「奉仕」と言う言葉のほうが判り易いかも知れません。人の為に自分の体や時間を快く提供することによって人間関係がうまく行く元になります。
このように人間関係をうまくやっていくには自己中心的な行動ではなく、他人の気持ちを理解し思い合いながら「和」の精神で協調性のある、お付き合いに心がけるべきです。
仏教の教え
「顕 教 と 密 教」
前号では「大乗仏教と小乗仏教」について説明しました。今回は日本仏教でも大別される「顕教と密教」についてご説明します。
仏教の根本を考える時「宇宙創造の仏」の存在があります。顕教では「毘盧遮那仏」(東大寺の大仏など)で、この仏様は元々、姿・形が無く、言葉によって教えを説かれることは無いので、その代わりにお釈迦様を出現させて教えを説かれています。顕教とは教えが言葉で顕されていることから呼ばれています。
次に密教では「大日如来」を宇宙仏としています。大日如来は自ら教えを示します。しかし、その教えの言葉は煩悩を背負った者には聞くことが出来ないため修行を積んで理解できるようになるとしています。密教とは、なかなか聞くことのできない秘密の教えという意味です。(詳しくは今後解説します)
仏教からきた言葉

円満(えんまん)
『円満な家庭』『夫婦円満』『円満解決』などの使い方をします。
仏教では「円満具足」「願行円満」などの使い方があります。その意味は欠点がなくすべて良いことが備わり成就完成したという意味があります。穏やかに平和であることが言葉の意味に受け継がれています。
ご真言をお唱えしましょう
不動明王御真言(慈救之呪)(災難除け)
のうまく さーまんだー ばーざらだん
せんだー まーかろしゃーだー そわたや
うんたらたー かんまん
薬師如来御真言(病気平癒)
おんころころ せんだり まとうぎ そわか
光明真言(罪業消滅・仏法崇敬)
おんあぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら
まにはんどま じんばら はらはりたやうん
弘法大師御宝号
南 無 大 師 遍 照 金 剛
冬至祭ご報告
この度の冬至祭は再建された新本堂で例年どおり十二月二十三日に行われました。この日の朝は霜も降りずにクッキリと晴れ渡った日の出と共に迎えました。
檀家や信徒の奥様方も八時にはお集まりいただき、早速かまどに火が焚かれカボチャほうとうの煮炊きが始まりました。
八時半にYBSラジオの取材車がやって来て、生放送で祭り支度の模様が放送されました。日が昇るにつれて、暖かな日差しが降り注ぎ、風もなく穏やかな日中になりました。
十時半頃には「延命かぼちゃほうとう」も出来上がり、およそ三百食を振る舞いました。十一時半には住職から仏教法話があり「仏教と平和」を題材にアメリカで起こったテロ事件と宗教問題を取り上げ、仏教の平和理念をご法話頂きました。
護摩法要は午後二時から行われ、真言宗僧侶により無病息災・家内安全・商売繁盛などの祈祷が執り行われました。
本堂建設完成御報告
昨年二月に旧本堂を取り壊し、四月に地鎮祭、六月に上棟式を行い、十二月二十日、本堂の引き渡し式を行い、本年二月十六日に建設に伴う支払いが出来ました。(会計報告は次回致します)これまでに檀家各位を始め五百件に及ぶ信徒の皆様、並びに親戚各位、有縁の皆様には貴重なご浄財を賜り誠にありがとうございました。また、建設に携わって頂きました甲西町・長沼工業所の長沼建夫社長始め工事関係の皆様には少ない予算の中で最高の技術を以って、立派な本堂を建立して頂きましたことを心より御礼申し上げます。
ここに今日までにお寄せ頂きましたご奉賛者をご披露申し上げ御礼に代えさせて頂きます。掲載につきましては、十分注意を払いましたが御芳名及び金額の誤記欠落等ございましたらご遠慮なく、お申し出下さい。なお奉賛期間は継続中でございますので今後、追加のご寄付(物品を含む)を頂いた場合は次の「たより」の中で順次、発表させて頂きます。
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